猫になりたい

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ポトスライムの舟/津村記久子



今回の芥川賞候補になっている作品。
どうしても読みたくて、図書館で掲載誌を借りてきました。(「群像」11月号)
作家の津村記久子さんは、今まで色々読んで、「この人、いい!」と何か好きで、今回の作品で決定的に大好きだわ、感覚が一緒だわー、と思いました。

「ポトスライムの舟」は、29歳の、言うなればワーキングプアの女の子・ナガセが主人公。
工場での製造の仕事(年収160万少々の薄給)をベースに、夜だけ大学時代の友達の営むカフェを手伝い、週末の1日は商工会議所主催のパソコンスクールの講師のバイト。
母親と同居する家に帰れば、データ入力の内職もする。
とにかく働かなきゃ、と何かに急き立てられるように日々休みなく働いている。

卒業後に勤めた会社での人間関係のぐちゃぐちゃに疲れ果て、今の仕事に流れた様子。
今の工場での人間関係は良好で、働き甲斐があるとは思えない状態であるが、職場での空気が悪くないことは得がたい美点だと思い、今の状態を続けている。

「今の生活では、男を捜している時間も、余裕も、つてもなかった。もっと若ければどうにかなったのかもしれないが、その時期は、前の会社での気遣いじみたパワーゲームと、その後遺症による長い脱力と、新しい職場に慣れるまでに費やされてしまった。」

大学時代の友人で独身なのは、カフェ経営のヨシカだけ。あとの二人(よし乃とりつ子)は結婚して専業主婦をしている。
お金持ちの旦那と結婚したいわば「勝ち組主婦」であるよし乃は口を開けば夫と姑と子供に関する話題になり、独身者二人はどうしても彼女と自分たちに距離を感じずにはいられないのであるが、よし乃自身はそのことには気付く様子もなく友情を求めてくる。
一方のりつ子は旦那に愛想をつかし、幼い子供・恵奈を連れ、家を出、ナガセの家に居候をする。

「恵奈の相手をしている母親を見ながら、ナガセはときどき、女の子供の親孝行は結局、真面目に働くことなどではなく、手頃な男を見つけて安泰な結婚をすることなのではないかと考えていた。母親自身が離婚を選んでいたとしても、女が結婚によって身分の安定を得るのは反論しがたい人類の自明のことであるからして、母親はやはりそれを望んでいると思っていた。」

ここまで今の自分の心情にピッタンコな作品だとは思っておらず、ぐわんと胸をつかまれゆさぶられた衝撃がありました。
私にリアルタイムなだけではなく、やはりこのご時世、時代の空気にマッチしまくりのこの作品が、確実に芥川賞を取ると予想。

しっかし、こんなにも激しく同調したのに、それを言葉にしてレビューするのって難しいもんだ。

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